【見学会・検討会の概要】
2026年9月3日(木)~9月4日(金)、日本地すべり学会中部支部主催による現地見学会・検討会を開催しました。今回は、令和6年能登半島地震により被災した深見地区と鹿磯地区の2箇所について、現場に携わった技術者の方から調査・設計に関わるご講演をいただくとともに、検討会及び現地見学を実施しました。初日には予報通りの大雨に見舞われてしまいましたが、各地から多くの皆さまにご参加いただきました。
【内容と行程】
今回、当初には1日目午後と2日目午前に現地見学、2日目午後に講演及び検討会を行う予定でしたが、直前に悪天候の予報が出されていた1日目の現地見学を2日目に振り替え、1日目に検討会を実施する行程に変更させていただきました。
【1日目:検討会・技術交流会】
検討会は、羽咋郡志賀町の「いこいの村能登半島」を会場としてお借りし、まず令和6年能登半島地震の土砂災害対策に関するご報告をいただきました。石川県では当年8月下旬にも大雨に見舞われ、講演を予定されていた石川県砂防課参事塚本さまが災害対応に当たられていたため、講演は中部支部幹事が代理を務めさせていただきました。次いで、日本工営株式会社北陸事務所の法水さまと弘崎さまから、強い地震動に伴い発生した深見地区と鹿磯地区の斜面変動についてのご説明をいただきました。その後には、本会にご参加いただいた京都大学松浦教授さまから、話題提供として排水トンネルと地すべりについてのご講演をいただきました。

講演終了後の質疑応答では、参加者から「深見地区全体を包括する斜面変動領域が存在する地形的な可能性について」や「鹿磯地区対策工設計における地震動の考慮について」など、専門的な視点からの質問が相次ぎました。現場に携わった技術者の方からは実務ベースでの具体的な回答や苦労話などを伺うことができ、非常に有意義なディスカッションとなりました。
その後、宿泊先である七尾市和倉温泉「のと楽」へ移動し、会食をして各位の技術交流を深めることができました。「のと楽」では、この地域に特有の塩っぱい温泉にゆったりと浸り、参加者の皆さまに贅沢なひとときを過ごしていただけたのではと思います。
【2日目:現地見学会】
現地見学会は、宿泊先からまず輪島市深見町に移動し、深見地区において代表的なボーリングコアを拝見しながら、推定すべり面等の地質状況を含めた現場概要の説明をしていただき、また強震動に伴う緩み岩盤の変位により変形した排水トンネル内部の破損状況を観察させていただきました。破損した排水トンネルは、実際に目にする機会がほとんどないこともあって、参加者からは驚愕の声が多くあがっていました。


その後、顕著な隆起によって大きく後退した海岸線をマイクロバスの車窓から眺め、輪島市門前町「道下サンセットパーク」の緑地内でピクニック風の弁当タイムを取り、石川県奥能登土木総合事務所吉野さまから、能登半島地震による地すべり災害の対応として「鹿磯 災害関連緊急地すべり対策事業」について、また対策工事を請け負われている宮下建設株式会社さまから「鹿磯地区の施工状況」についてのご説明をいただいたのち、八ヶ川を挟んだ北側に近接する鹿磯地区へと向かいました。


鹿磯地区では、排土工により平坦になった斜面の最上部へ移動し、代表的なボーリングコアの観察並びに、計画されたアンカー工施工状況の見分(ざぶとん枠裏込め工を施工中)をさせていただきました。当地区では、付近の海岸とほぼ同質と思われる砂層が斜面にへばりつくようにして分布し、その砂層が斜面変動の素因になったことが報告され、参加者の間で砂層の成因に関する活発な議論がなされていたことが印象的でした。



【おわりに】
今回、1日目の検討会、2日目の現地見学会ともに、ほぼ予定どおりの行程で終了することができました。本会にご参加くださった皆さまには、円滑な運営にご協力をいただいたことも合わせまして、ここに感謝の意を表します。
今回の検討会・見学会を通じて、令和6年能登半島地震の凄まじさ、その直後から対応に当たられている官公庁、測量・調査・設計業者、施工業者各位の熱意と努力、復興に向けた歩みを着実に進めている石川県の現在を肌で感じることができました。
最後になりますが、本検討会及び見学会を開催するにあたり、石川県土木部砂防課、奥能登土木総合事務所の皆さま方には、ご多忙中にも関わらず多大なご協力を賜りました。また、本会の企画・運営を円滑に進めることができたのは、裏方として支えてくださった日本工営株式会社北陸事務所の皆さまによるご尽力があってこそです。この場をお借りして、各位に厚く御礼申し上げます。

